この雑誌について
意思決定者のためのマネジメント総合誌
出版社/著者からの内容紹介
Feature Articles
リーダーシップ:経営力の本質
リーダーシップは、実経験のなかで磨かれる能力であり、教室では学べない。とはいえ、何の心構えもないまま、漫然と日常を過ごしていては身につかない。そのためには、みずからを省み、みずからが望むリーダー像を繰り返し自問することが欠かせない。本特集では、「リーダーシップ論の名作」と呼ばれる論考を中心に、リーダーの使命について考える。
自分なりの「経験理論」を持つ
リーダーシップ論 七つの扉
神戸大学大学院 経営学研究科 教授
金井壽宏
リーダーシップ研究は膨大な数があり、幸か不幸か、解明されていることが最も少ない領域といわれている。リーダーシップは、本を読んで身につくものではなければ、教室で学ぶにも限界がある。優れたリーダーと称される人々は、これをどのように身につけたのだろうか。変革型リーダーシップ、キャリア開発、リサーチ・ベースト・エデュケーション等を主たる研究テーマにする筆者が、リーダーシップ研究の系譜をひも解き、いま必読の文献を紹介する。
有能なマネジャーと無能なマネジャーは何が違うのか
権力と影響力
ハーバード・ビジネススクール 名誉教授
ジョン・P・コッター
新米マネジャーやデジタル思考のマネジャーは、会社から与えられた職掌を「自分の権力」と勘違いしている。その結果、急に居丈高になったり、管理者然と振る舞ったりする。要するに、権力の意味とその使い方がわかっていないのだ。ベテラン・マネジャーや賢いマネジャーは、権力を与えられているとはいえ、上司や部下、同僚などに依存しており、したがって権力は周囲から承認されて、初めて身につけられるものであり、これを取りつける方法こそ重要であるとわきまえている。本稿は、優れたマネジャーはどのように権力を身につけ、これをどのように行使して影響力を発揮しているのか、異なる26組織250人の管理職へのインタビュー調査に基づく知見である。
【1977年度マッキンゼー賞受賞論文】
大半の人々が混同している
マネジャーとリーダー:その似て非なる役割
ハーバード・ビジネススクール 名誉教授
アブラハム・ザレズニック
リーダーとマネジャーは異なる人種である。にもかかわらず、ほとんどの人が同一視しており、その結果、期待する役割や育成方法も区別されずにいる。精神分析家でもあるアブラハム・ザレズニックは、心理学の知識と実地研究を通じて、目標、仕事観、人間関係、人格特性、育成方法における両者の違いを明らかにした。また彼は、これまで偶然に任してきたリーダーの育成について、師の存在の必要性を指摘し、組織的に育成可能であると述べた。これがその後のリーダーシップ開発に大きな影響を与えている。本稿は1977年に発表され、その高い評価ゆえに92年に改定版が出された。
組織論では真の姿に迫れない
リーダーの仕事
トム・ピーターズ・カンパニー 会長
トム・ピーターズ
世界的なコンサルタント、トム・ピーターズのHBRデビュー作である。欧米企業20余社のリーダーたちへの実地調査の結果を踏まえて、これまで体系的で合理的に描かれてきた「リーダーの仕事」について、それは非現実的であり、経営学者たちの幻想にすぎないと一蹴する。ピーターズは、リーダーたちの日常は雑然としており、その結果、意思決定といっても二者択一であり、時間は細切れにしか使えず、また悪い知らせは聞かされず、何事にも長い時間が必要しているという。しかし彼は、このような状況に置かれているからこそ、組織の複雑性にまどわされることなく核心を突くことができ、またさまざまな課題にも的確に対処できるのだと主張する。すなわち、このように制約条件の多い状況に適応しているのである。そして、リーダーの使命は、価値観のマネジメントであり、そのために率先垂範することであると結論する。
適応の時代における6つの原則
リーダーシップの新しい使命
ハーバード大学 ジョン・F・ケネディ行政大学院 上級講師
ロナルド・A・ハイフェッツ
オイスター・インターナショナル 共同創設者
ドナルド・L・ローリー
変化する事業環境を生き残るためには、組織の行動様式を変化に適応させなければならない。変化を恐れ、手をこまねいている企業は衰亡する。競争社会におけるリーダーシップの目標は、みずから問題の解決策を示すことではなく、社員がみずから責任を持って変化に適応するよう導くことである。しかしこうしたリーダーシップは、きわめて難易度が高い。ブリティッシュ・エアウェイズやスカンジナビア航空、KPMGオランダの例を引きながら、指針とすべき六つの原則を示す。
コンティンジェンシー理論で考える
Y理論は万能ではない
元 カリフォルニア大学ロサンゼルス校 経営大学院 教授
ジョン・J・モース
ハーバード・ビジネススクール 教授
ジェイ・W・ローシュ
人々の自発性を促し、その勤労意欲とパフォーマンスを向上させるには、ダグラス・マグレガーが唱えた「Y理論」が有効であるとされる。この金科玉条は、知識社会の到来によって、いっそう支配的になっている。はたして本当だろうか。Y理論を過信した結果、かえってパフォーマンスを損なったり、組織のマネジメント・システムがおかしくなったりすることがある。コンティンジェンシー理論の提唱者の一人、ジェイ・ローシュらは、二つの工場と二つの研究所を比較した結果、業務と組織と人材がフィットした時、人々の「センス・オブ・コンピタンス」への動機が高まり、その結果としてパフォーマンスが向上するのであって、Y理論は必ずしも万能ではないという結論を導き出した。
HBR Articles
たゆまぬ挑戦を生む企業文化の秘密
アマゾン・ウェイ:挑戦、顧客志向、楽観主義
アマゾン・ドットコム 会長兼CEO兼社長
ジェフ・ベゾス
インターネットの爆発的な普及が始まった1995年に創業して以来、アマゾン・ドットコムは常にeコマースの先端を走り続けてきた。それは、業界や資本市場のみならず、社員たちをも驚かせる挑戦の連続だった。可能な限りの価格の低下とプロセスの生産性向上に努める一方、書籍販売にとどまらず、新規分野への参入と新サービスの開発に取り組み、時には既存事業とのカニバリゼーションをもいとわない。その土台は、ジェフ・ベゾスいわく「企業文化である」という。不確実性が高い現在だからこそ、ライバルの動向を追いかけるのではなく、お客様重視の姿勢を貫き、そのために果敢にチャレンジする。とはいえ、CEO以下全員が、肩の力を抜いて仕事を楽しむ。いまあらためて、アマゾンの創業者に、アマゾンの強さの秘密を聞く。
「リーダー養成機関」150社から導き出された
リーダーシップ・ブランドの5原則
ミシガン大学 スティーブン・M・ロス・スクール・オブ・ビジネス 教授
デイビッド・ウルリッチ
RBLグループ 共同創業者兼パートナー
ノーム・スモールウッド
リーダーシップ・ブランドとは、「優れたリーダーを大量に育成している企業」という評判のことだ。ゼネラル・エレクトリック、ジョンソン・エンド・ジョンソン、P&G、クラフト・フーズ、ゴールドマン・サックスなど、リーダーシップ・ブランドに優れた企業一五〇社について調査したところ、いずれも顧客や投資家たちの視点を取り入れた方法によってリーダーシップ能力の開発に注力していることが判明した。本稿では、リーダーシップ・ブランドを高める5原則について解説する。
アメリカ政府機関に学ぶ
官公庁も改革できる
オストロフ・アンド・アソシエーツ マネージング・パートナー
フランク・オストロフ
「政府機関の改革はほぼ絶望的」というのが衆目の一致するところだろう。官僚主義による縄張り争い、変革には短すぎるトップの任期をはじめ、過去何度にもわたる改革の失敗による組織のシラケ、複雑怪奇な利害関係など、民間企業以上に難しそうである。しかし、やり方さえ間違えなければ、実現可能である。本稿では、OSHA(労働安全衛生庁)、SOF(アメリカ軍特殊作戦部隊)などの改革事例をひも解きながら五原則からなる政府機関のチェンジ・マネジメントについて解説する。
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